変わりゆく時代を見つめ続ける石

徒然日記

こんにちは。高見石材小千谷店です。今日から4月ですね。
当社でも新入社員が1名入社しました。教わる側も、そして教える側も張り切っているように私には見えます。一人前の職人になるには時間はかかりますが、たくさんの経験を積んで腕のいい職人になってほしいと願っています。

さて、春の到来とともに、学校や職場で新たなスタートをした方も多いのではないでしょうか。2年前のこの季節、天皇陛下の代替わりとともに、令和の元号のもと新しい時代が始まりました。昭和は遠くなり、平成さえもどんどん過去へ過ぎていく時間の流れの中ですが、石屋としては、これまでの歴史を留める場所としてぜひ覚えていただきたいところが東京駅丸ノ内側にある、和田倉噴水公園です。

この公園の噴水は当時皇太子殿下だった平成天皇のご結婚を記念し、昭和36年に作られました。全国各地の石を用いて、日本の石材工芸品の手法により制作。直線と円を用いたシンプルな造形は日本的な美を感じさせます。

水を噴水する濃いグレーの石にご注目。これは『浮金石~うきがねいし~』と呼ばれる、福島県田村郡小野町の最北部標高896mの黒石山で採掘される美しい斑れい岩です。噴水の水は斜め上に噴出し、菊の花とつぼみを表現しているそうです。

平成5年、現在の天皇皇后のご結婚時には改修整備が実施され、球形噴水のモニュメントなどが新たに設置されました。和田倉噴水公園はまさに昭和と平成、二つの時代をつなぐ場所なのです。

今はコロナ禍の厳しい状況にありますが、家族連れや観光客が思い思いに集う平和な日常風景が戻ってくる時を、この噴水のモニュメントは待ち続けていることでしょう。

ちなみに、この周辺は皇居外苑にあたり、江戸城の石垣を間近に見る事ができます。指の先が入らないほど精緻に組み合わさった江戸城の石垣、和田倉噴水公園のモダンなモニュメント、それらを見下ろす丸の内の石張りオフィスビルといった、それぞれの時代の石が一度に見られる、歴史の重みを感じられる場所です。

関連記事